進化し続ける東京都市大学vol.1

グループの総合力と各校の伝統を生かし、未来を見つめた教育・研究を推進する

2009年4月1日、学校法人五島育英会が設置する武蔵工業大学は東横学園女子短期大学を発展的に統合し、5学部16学科を擁する「東京 都市大学(略称:都市大)」として新しい一歩を踏み出した。併せて、付属の幼稚園から、小・中・高等学校を含めた「都市大グループ」が誕生した。そのドラスティックな改革の概要と、都市大の取り組み、グループの動向を紹介する。

2009年4月、東京都市大学グループ誕生

未来志向の人材育成を目指しグループを形成して連携強化を図る

5学部16学科を擁する“総合大学”

 日本の経済発展のため、工学を中心として、 次代を見すえた教育と研究に邁進してきた武蔵工業大学は、創立80年目の2009年4月1日、その名を『東京都市大学』(都市大)へと改称。従来の工学部、知識工学部(以上、世田谷キャンパス)と、環境情報学部(横浜キャンパス)に加え、等々力キャンパスに都市生活学部と人間科学部を開設し、理工系、文理複合系、文系の5学部16学科を擁する総合大学として新たなスタートを切った。2010年4月には、早稲田大学との共同大学院「共同原子力専攻」も開設。同大学は社会と時代の要請に応えながら、その礎となる科学・技術から、21世紀最大のテーマである環境・情報、充実した暮らしに欠かせない生活・福祉分野に至る幅広い領域をカバーしながら、「科学を基盤に持続可能な社会発展」を目指している。

工学部
機械工学科/機械システム工学科/ 原子力安全工学科/生体医工学科/ 電気電子工学科/エネルギー化学科/ 建築学科/都市工学科
知識工学部
情報科学科/情報ネットワーク工学科/ 経営システム工学科/自然科学科
環境情報学部
環境情報学科/情報メディア学科
都市生活学部
都市生活学科
人間科学部
児童学科
大学院
(工学研究科/環境情報学研究科)

 併せて、付属の高校3、中学校2、小学校1、幼稚園1も、同時に大学名を冠として名称を変更し、『東京都市大学グループ』が形成された。

 世界の産業、文化、芸術の集積地であり発信地でもある「東京」に主要な学びのステージを持つ大学。そこに、多様性と可能性に満ちた夢の空間である「都市」を組み合わせた名称には、未知の世界に挑戦する“未来志向の人材育成”というグループ全体の価値観が込められている。今後、都市大グループでは、大学を中核に学園の総合力を発揮し、高大連携や一貫教育の推進など学校間連携を深めながら、新しい時代を切り開く人材輩出に取り組む。

研究・教育の成果を社会と地域に還元する

水素燃料エンジンバスで日本初の公道走行を実現

水素燃料エンジンバス

未来志向の取り組みを象徴する水素燃料エンジンバス。
外装デザインは、都市大と連携する多摩美術大学の学生によるもの

 2009年4月3日(金)、名称変更後初となる都市大の入学式が挙行され、併せて『水素燃料エンジンバス』の完成が発表された。
  水素燃料エンジンは、水以外の排出物を出さない、低炭素社会実現の切り札。同大学は、およそ40年前に日本で初めて水素エンジンの運転に成功して以来、この分野のパイオニアであり、トップランナーだ。今回の水素バスでは、国土交通省からナンバープレートを取得し、日本で初めて公道走行を実現。2009年9月29日から10月12日まで、環境交通社会実験協力のため丸の内〜銀座〜日本橋周辺を循環して注目を集めた。この後、08年に包括連携協定を締結した室蘭工業大学と協働して10月20日より約1ヵ月間、北海道室蘭市において走行試験を行うなど、本格的な実用化に向けて研究を継続中だ。

発展途上国の環境問題や社会問題を体験学習する

 都市大の環境情報学部では、“ネパールプロジェクト”という海外フィールド研修プログラムが実施されている。これは、環境情報学部の教職員と学生が協力して運営している企画であり、毎年ネパール現地において実施される研修である。 発展途上国の環境問題や社会問題を体験学習するとともに、ネパールの大学生達との国際交流などが行われている。アジアの発展途上国であるネパールをフィールドに、様々な環境問題や社会問題を学ぶと共に、人々の環境認識の向上や国際的な交流を目的とする、都市大環境情報学部の特色ある取り組みだ。 (参考リンク:東京都市大学ネパールプロジェクト

科学体験教室

カトマンズやチタワン地域において代替エネルギーの現状を分析。

キャンパスイルミネーション

ネパール大学の学生と協力し、現地の小学生にインタビュー調査を実施。

“開かれた大学”として地域社会の発展に貢献する

 「知の資産」とも言える大学の研究や教育の成果は、様々な形で地域社会への貢献に形を変え、還元されている。例えば、世田谷キャンパスでは毎年夏休みに『科学体験教室』を実施。
 小・中学生を招き、ユニークな工作・実験・観察を通じて、サイエンスの魅力を伝えている。8回目となる2009年は、8月8日(土)に開催され、1300組を超える家族が、水ロケットやロボットづくりなどに取り組みながら、科学の不思議とおもしろさを体感した。
 建築学科の学生の手による照明で世田谷キャンパスを彩る『キャンパスイルミネーション』も、人気行事。2009年も10月10日(土)から12日(月)まで、4000人を超える来場者が、光と闇が織りなす幻想的な景観に酔いしれた。
 環境情報学部では、2009年10月31日から12月5日までの毎週土曜日、2009年度市民講座を開講した(全6回12講義)。テーマは『低炭素社会への道程〜日本のグリーン・ニューディールは動き出すのか』。日本が今後歩むべき“低炭素社会”について、学術界、行政、産業界など多様な立場で講義をし、考察する。

科学体験教室

理科好きの子どもを育てることにも貢献している 「科学体験教室」

キャンパスイルミネーション

キャンパス内の至るところで美しい光の競演が繰り広げられる 「キャンパスイルミネーション」

市民講座に関するお問い合わせは、東京都市大学 環境情報学部(横浜キャンパス)市民講座係まで。
TEL:045-910-0104

 全学的な地域交流としては毎回時宜を得たテーマで講演と意見交換を行う『渋谷コロキウム(公開講演と対話)』がある。第21回は、2009年11月9日(月)午後6時から、渋谷のセルリアンタワー東急ホテルボールルームで、『海の防災と環境』をテーマに開催された。

渋谷コロキウムに関するお問い合わせは、東京都市大学国際産官学連携室まで。
TEL:03-5707-0104(内線2240〜2244)

 これからも都市大は、社会や地域発展のためにその研究や教育活動を様々な機会を通して還元し、「開かれた大学」であることを大切にするという。

グループ内の各付属校も個性ある改革を推進

グループ内の学校間連携と各校の個性ある改革で更なる発展を目指す

 都市大付属中学校・高等学校(男子)では、2007年に完成した新校舎で、完全6カ年一貫教育を進めながら、難関大学への合格実績を着実に伸ばしている。同校では、2009年10月31日(土)、11月1日(日)、学園祭『柏苑(はくえん)祭』を実施。中学生と高校生が一緒に活動する学校一番の大イベントは盛況のうちに終了した。

柏苑祭(学園祭)
入試個別相談コーナー開設 時間/10:00〜16:00

2010年度竣工予定の等々力中高の新校舎(イメージ)

2010年度竣工予定の等々力中高の新校舎(イメージ)
多様な教育環境に対応した施設設備の充実を目指す

 また、創立から70年にわたって質の高い女性教育を実践してきた都市大等々力中学校・高等学校では、2010年度に「共学部」の開設を予定。これに伴い、同校では施設環境のさらなる整備に着手、2009年10月13日(火)には、新校舎建築工事(2010年8月完成予定)の起工式が行われた。地上5階建ての新校舎には情報通信ネットワークやマルチメディアが普及する時代の新しいタイプの図書室として「ストラテジー・インフォメーション・センター(SIC)」や「アナライズセンター」と呼ばれる学習支援の拠点などが設置予定だ。

 継続的に進められていくグループ内の学校間連携と各校の個性ある改革。激変する社会環境下で、大胆かつチャレンジングに進化し続ける都市大グループの動向には、これからも目が離せない。

「都市」で学ぶ。「人」を育てる。「未来」を築く。東京都市大学/付属中学校・高等学校/等々力中学校・高等学校/塩尻高等学校/付属小学校/二子幼稚園